
23歳の時に勤めていた銀行を辞めて某飛脚の運送会社に転職しました。
理由は長くなるので割愛。
とにかくとてつもない額の負債を背負い込みました。
厳しい3ヶ月の研修を終え、いよいよトラックに乗りました。
最初は担当となる先輩の横に同乗して基礎を学びます。
年齢が自分よりひとつ上で、経験も1年ぐらいの先輩でした。
とても優しい方でした。
若くして2度目の結婚、子供が出来たばかりということで先輩もがんばってました。
自分は1ヶ月6千円の生活費で残りは返済っていう苦しい状況でした。
先輩のトラックに同乗して2日目でした、昼メシで自分はパン1つ。
それを見た先輩「お前それじゃ足りねぇだろ、そんなんじゃ持たねえぞ」と心配してくれました。
本当は腹ペコでしたが「いや大丈夫っす!」そう言って笑う自分。
翌朝、先輩のトラックに乗ると「はい、これ」とナプキンに包まれたものを渡されました。
「嫁がお前にってよ」
中をみるとサンドイッチのお弁当でした。
先輩は自分が転職してきた理由と生活状況をどこかで聞いたらしく、
帰宅したあと奥さんに「新しく来た新人くんがさぁ」と話をしたらしいのです。
今でもそのサンドイッチの味は忘れてません。
「そんなんじゃ、足りねぇよな」と先輩。
涙がでるほど嬉しかったです。
それから半年間に渡ってお弁当は続きました。
その先輩が休みの時は別の先輩の奥さんが作ってくれました。
お礼を言うとどの先輩も口を揃えてこう言いました。
「いいんだよ、いつかお前が同じことを誰かにしてあげる時がくるから、そん時に助けてやんな」
先日風呂場で髪の毛洗っているときに突然思い出したんです。
お弁当のことを。
泣いた。
あの弁当がなかったら今の自分はない。
そう思う、それだけありがたかった。
あの時の気持ち忘れちゃいけないなと。
お元気ですか、福間準センパイ。
センパイに恩返しできるよう、
誰かの力になれるよう、今日も明日もがんばります。
ではでは。