スタッキングに関して自分はとても大事なことを説明しわすれていたようです。
ようやく気付きましたので取り急ぎお話しておきます。

ここまでスタッキングの説明を何度もしてきました。
理解していただける人もいれば、どうしても疑問点があるという人も多くいらしゃいました。
なんでだろうかと考えました。
そんななか「スタッキングがうまくいかなかったショットの動画集」を作りました。



これをずっと見ていたら突然「ハッ!」と気付きました。
もしかして、、、もしかしてそうゆーことなの??

自分は彼ら(海外)のダーツをシュート力って主観で見ていません。
ところが日本はシュート力ありきです。
「ダーツうまい = シュート力」という図式が一般的。
このことを自分は忘れていました。

彼らの技術はスタッキング力だ!と言いました。
そこは変わらないんですけど、スタッキングするためにどんな技術を使っているのか、、
その根本部分の説明をしていませんでした。
しなくてもわかると勝手に思ってました。
でもそれはシュート力ではなくグルーピング力(再現力)で考えていなければわかりにくいんです。
シュート力で考えてた人、ごめんなさい。
日本で必要とされる技術と海外で必要とされる技術の違いの説明が不足してました。
その説明もなしにスタッキングの説明をしても分からないのは当然です。
なのでその説明を今回したいと思います。

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これもいつもの勝手な考察、決めつけなんですが、、
日本のトッププレイヤーの技術と海外のトッププレイヤーの技術の違いを
すごーく大雑把に分けるとこうなります。
(メンタルとかそういうのは抜いて考えてください、どこが長けているかって話です、
もちろん日本のトッププレイヤーでも海外プレイヤーと同じ技術を使っている人はいます。
多くの場合という想定です)

日本のダーツ技術 = シュート力 = 狙ったとこに入れる能力
世界のダーツ技術 = スロー再現力 = 何度も同じように投げられる能力

もちろん、世界だってシュート力も使うし、日本だって再現力を使います。
ただその割合が違うんじゃないかなと。

スタッキングというのはスロー再現力を有効にするためのもの、そしてその結果現象です。
鬼のようなシュート力があるならスタッキングなんて必要ないんです。
そこまでのシュート力なんてないからスタッキングで補おうってものなんです。

スロー再現力って言葉は初めて使いました。
投げ方やタイミングが筋肉に記憶されて無意識でもまったく同じように投げられる力をさします。

↓ こうのです 狙って投げるといよりカラダにやらせてる感じ


スロー再現力は簡単に言えばマシンみたいなものです。
海外の選手はどこを狙う時も、どんな状況でも、常に同じタイミング、同じ力、同じスローです。
彼らのその技術は筋肉や感覚に「投げ方・タイミング・スロー」を完全に記憶させて
そして何度もその通りに体が実行できるというものです。
もちろんこれは何度も投げて、投げて、投げて、投げて自分のスローイングを
マッスルメモリーさせるまで繰り返し投げて作り上げられた技術であると思います。
スポーツ選手が何度も素振りしてフォームをカラダに覚え込ませるアレです。
何度も同じことを無意識下で実行できるように彼らはルーティン動作も意識しています。

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フィル・テイラーは自身のDVDの中で技術的なことにはほとんど触れませんでした。
しいて言えば立ち方に関して口酸っぱく何度も言ってたぐらいです。
どうやって狙ったらターゲットに入るのか、、どうやって投げたらいいのか、、グリップは??
そういったもののアドバイスはほぼ無しでした。
上手くなるためには「たくさん投げろ」って w
日本人にしてみたら物足りないったらありゃしない。
でも彼らが重要視しているスロー再現力を養うには「たくさん投げる」しかないのです。
グリップ、スロー、スタッキング、エイミングなど彼への質問は多岐に渡りましたが、
彼にしてみたら日本人はなんでそんなこと知りたいの?って思ったことでしょう。
人それぞれ違うし、その違うことが武器なのにって。
答えはすでに自分が持っているんです。
自分の体にやらせてあげて、それを何度も何度も繰り返して、同じように投げられるようにする。
それが彼らのスタイルなんでしょう。

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それゆえに海外のプレイヤーは日本のプレイヤーに比べて投げ方もあまり綺麗でないし、
一見あんまり狙ってない感じがします、比較的投げるのも早いし
(特にオランダの選手は個性がすごい)
それは狙ったところに入れようというよりも、見たところに自分のスローを再現するってことを大事にしているからでしょう。
変な投げ方でも3本必ずおなじに投げられる、これです。
綺麗に投げる必要がない、「3回まったく同じことができる」こっちが大事。
なので癖があっても直さない、あえてそれを生かす!
癖なら意識してなくても同じようにやれちゃいますからね。
こういう点でも投げ方を気にする日本人とは違いがあります。

しかしこのスロー再現力にも弱点はあります。
それは「同じにしか出来ない」ということです。
同じことができるように体や感覚にインプットされているので
ちょっとした調整とかできないんです。
まぁ、この調整ができちゃう=ミスってことになるので
調整できないから上手いってことなんですけどね。

ちょっと刺さってる矢が邪魔だからフワッと浮かせて投げようとか、
トップダブルだから垂れないようにちょっと強めに投げようとか、彼らはそういう事ができません。
だからすぐに「スイッチング」します。
以前にも紹介しましたが、「スイッチング」はT20を狙いたくても刺さった矢が邪魔になったときに
T19、T18などに投げる場所をスイッチすることをいいます。
動画を見ていただければわかるかと思います。



加減をして飛びを調整するなどが出来ない彼らは打つ場所を変えて対応するのです。
もちろんシュート力をつかって無理矢理入れることもあります。

このように彼らは狙っていれるシュート力はもちろんのこと、
何度でも同じスローができる機械のような能力を身につけています。
だから大事なダブルを打つ時も、9ダーツトライをする時でも、
狙って投げるというよりは腕が勝手に動いて投げているというスローなのです。

スロー再現力がとくに素晴らしいのがエイドリアン・ルイスです。
彼のスローをみれば狙ったところに投げるというよりも、
狙いを見てあとは自分のカラダにスローさせるというのがよーくわかると思います。
再現力というものに注目して以下の動画を見てみてください。





いかがでしょうか。
日本ではソフトダーツが主流ですので、スロー再現力よりもシュート力が重要です。
もちろんシュート力というのは言い方を変えればスロー再現力でもあるわけなんですが、
一応 狙っていれるか、カラダにやらせるか その違いで分けて考えた話です。

だからフィルテイラーは言ってるのです「上達するにはたくさん投げろ」と。
これからダーツを上達しようという方はぜひこのスロー再現力というものも
考えながらぜひ練習してもらいたいなと思います。

こういう風に投げたい、綺麗に投げたい、柔らかく美しく、、
みたいなのもわかるんですが、自分ならではのスローイング探しです。
理想のスローを頭で制御して作ったフォーム、自分のカラダが自然にやってくれるフォーム
この2つのどちらにスロー再現力が出しやすいかはお分かりいただけるかと思います。
自分のカラダがやりたいようにやらせてあげて、結果どう投げるのか、どう飛ぶのか、どう刺さるのか。
海外のプレイヤーを見ていると、そうやってフォームを確立していくのも大切かなって思いました。


あとですね、これはあくまで余談なんですが、
日本のプレイヤーにはテイクバックしない人が結構います。
でも海外のPDCやBDOで活躍している選手にはテイクバックしない人ってなかなか居ない。
もしかしたらですが、シュート力を高めようと思うとテイクバックが不要になってくるのかなって。
そしてスロー再現力を高めるにはテイクバックがあるほうがいいのかなって。
そういう話を先日ノル氏としました。
あくまで憶測レベルですけどね、関係性ありそうだなと思いました。


さて!
実は書きたいことはここからなんです。
再現力重視だからスタッキングがいきてくるんですよって話を書こうと思ったら
その前説だけでこんなに長くなってしまいました。

なので今回はここで終わり。

次回は
スタッキングはシュート力があればつかわない。
シュート力よりもスロー再現力を使う割合が高いから、
そのシュート力を抑えた分を補うなうのにスタッキングを使うんだよって話をしたいと思います。

今回の話は日本と世界のダーツの違い、
しいてはソフトダーツとハードダーツの違いっていう話でもあります。
少しずつですが、ちゃんと最終回に近づいていってると思います。

こんな考察がみなさんの参考になるのか、
はたまたみなさんの技術を壊してしまうのか
どっちになるかはわかりませんが、
あくまで個人の考えであるという逃げの決めセリフで今回もさようなら!

続きも見てね。
ではでは。